
皆さんコンニチハ。元英国諜報機関勤務(嘘)、£ガールでございます。
いよいよ「マナーハウス」スペシャルBOXの発売日が近づいてまいりましたが、皆様のテンションにおかれましてハイなことをお祈りいたします!暑かったりそうでもなかったりという気候ですが、花が咲き乱れる良い季節ですね。これから英国は一年で最も美しい季節を迎えていきます、ご旅行を予定されている方々は是非6月~8月を!
そういえば、私が「ボール ball (舞踏会)」なるものに初参加したのもこんな季節でございました。キラキラと輝く思い出。酔っ払ってたからなあ。相当前の話なのですが、消しゴムで消されて薄くなった記憶を上から鉛筆でなぞるようにして、思い出してみますね。うー。あ、そうそう。あれはまだロンドンにて活動中のころでございました。
当時、私は元ローリング・ストーンズの追っかけ(60~70年代にですよ!)&ロッカーズだったという、筋金入りの不良中年ロンドナーのおばちゃん宅にて間借りしてました。ロンドン行ったら若者なら一度は行く(と思う)屋台のマーケットで有名なカムデン・タウンと、高級住宅地として知られるハムステッドの中間あたりに位置する、ケンティッシュ・タウンという地域に住んでおりました。ノーザン・ラインという地下鉄沿線上のケンティッシュ・タウン、ちょっとばかし柄の悪い場所という評判でございます。大通り(メインの商店街=High Streetといいます)から一本入れば静かでマターリした住み心地が良い所なんですが…南部やいわゆるコックニー的な東部(イースト・エンド)の活気の良さとはまた違う面白さを持つ町でございましたよ。住人も移民と地元民が入り混じってる感じ、カオスです。ホームレスの人々の数が土地の面積にしては非常に多い場所ではあるんですが、彼らも非常にマターリとしておりましたし、もっと北の方の殺伐感に比べたら危険なことはない!という感じ。留学をお考えの皆様、カムデン・タウンの雰囲気が好きなら、部屋探しにお勧めの土地でございますー。広大な公園、ハムステッド・ヒースも近いしね。
さて、ボール。
ある日、仲良しの英国人男子が「弟の大学でボールがあるから、行くならチケットをプレゼントするよ!」と言いました。
(ボール…?)
恥ずかしながら、当時の£はダンスといえばテクノやらのダンスミュージックしか頭に浮かばないので、ボールという言葉も知りませんでした。しかも大学だし。なんか大学生のバレーボール試合でもあるんかしら?とぼんやり考えましたが、疑問はすべて流していく主義なので深く考えずに「オッケー!」とノリよく応えたわけです。
その夜、キッチンでのお喋りついでに大家のおばちゃんに突撃取材。
自分で調べずに人に頼るのが£流。ほほ。
£ガール:
そいえば、ジョンティ(仮名)が、弟のガイ(仮名)の大学のボールに連れて行ってくれるとか言ってたんだけど、ボールってなに?
大家のおばちゃん:
え?ボールに行くのかい?!£が!本当に?
(ものすごいドスの利いた声で喋ってると思ってください)
£ガール:
うん。でも、実はボールって何かわからなくて。
大家のおばちゃん:
あたしだって行ったことないよ。ま、でもそんな堅苦しい所、行きたいと思ったことはないけどね!(大笑い)
£ガール:
(堅苦しい??)そりゃ、大学の球技の試合なんて私も見に行ったことないよ…。
大家のおばちゃんは、そこで爆笑。
£の大いなる勘違いを、正してくれたのでした。ぶ、舞踏会だって??!!
そういえば弟君は名門ケンブリッジ大学の学生なのでした。
ケンブリッジと一言で括っても、中はいくつかのコレッジに分かれております。コレッジによって特徴も異なり、「マナーハウス」的に言えば、比較的階級的に公平な伝統のあるコレッジ、上流ばっかのコレッジなど、実は階級的な色分けも可能である模様。その中でも弟君の通う「トリニティ・コレッジ」は、ケンブリッジ内で最も裕福なコレッジ。な、なんとロンドンからケンブリッジまで、コレッジ所有の土地のみを通り行くことも可能・・・!ベーコンやバイロン、テニソン、ニュートン、マクスウェル等々、歴史の教科書にいたよねあんな人こんな人、が、大学のOB・・・。
そこで気づいたんですが、そういえばジョンティ(仮名)は「エエとこのぼん」だったのです。本人は地味だけど立派な職業についている人で、あるとき実家に遊びにいったことがありました。お金持ちばかり住むカントリー・サイドの村で、元領主の家(マナーハウスの小さい版ですね・・・)という広い庭付のお屋敷(で、でもメイドはいなかったもん!)。週末にその村で一軒だけあるパブに食事にいったら、これフランス料理・・・?£が食べなれている英国パブ飯(まずうま系)とは違うものが、きちんと給仕されて出てきてまたびっくり。弟もそういえば紳士・・・非常に優しく落ち着いた青年なので(£は背が低いので、彼より年上なのに小さき者として愛でられました・・・)、忘れていたけど、エピソードにはこと欠かない人なのでした。聞いたところによると彼は、大学では奨学金を貰い(金持ちなのに・・・)コレッジ内でも上位三番以内の容姿端麗成績優秀、音楽が得意でバイオリンでは数々の賞を獲り学内のオーケストラでは指揮者を担当、海外にいっても5日くらいしたら土地の言葉を話し出すというびっくり人間。
よく考えたら、そんな人々が通う大学の舞踏会(ヒー!)に、いったいどんな面さげて行けばいいんだよぉぉ!!と、£は完全にビビリました。おばちゃんは、ボールルームガウン(イブニング・ドレス)を着ろという。大笑いしながら。そんなの持ってねえよ!似合うわけないし!!と、行く前から思い切りブルーでした。ジョンティ(仮名)に聞けば、自分はタキシードで行くという。
「ドレスコードありだからね♪」って、ちょっとあんた!
ああ・・・自分より数段頭の良い人たちに囲まれての英国式舞踏会。
完全不利なアウェーの試合じゃないですか!
その日からずっとため息をついて暮らしていましたが、ある日妙案が浮かんだのです。それは日本食レストランでのこと。そのレストランではサービスの女性が「着物」を着ているのです。着物・・・それは日本の正装、ドレスコードばっちり。着物なんかありませんよ、でも、浴衣なら、ある!バタフライがあしらってある深い青の浴衣を持っているのです。日本なら絶対にアウトですが、どうせ敵は外国人!わかりゃしねーっ、と、浴衣を着てサンダル(おしゃれなやつ:当社比)を履き、バッグを手に出かけたのでした。どうせ大学の学祭じゃい!
当日、夕方6時頃に現地に到着。構内に入ってすぐに眩暈がしました。
ああ・・・
学祭の範囲 こ・え・て・る ・・・・。
シェイクスピアの「真夏の夜の夢」がパーティのテーマ。
幻想的に装飾された庭には色とりどりのテントが並び、それぞれシャンパンやデザート、食べ物などが煌びやかに並べてあります。笑いさざめくゴージャスに装ったドレス姿・タキシード姿の人・人・人。ステージがいくつも設置され、プログラムを見たところ、オーケストラのみならず、世界的に有名な某バンドのライブや有名DJなどもプレイする模様・・・さ、さすが~!また、別のテントではコメディやマジックのショウなど(これまた高名な人々が出演)が行われています。本当に、ありとあらゆるエンターテイメントとサービスが提供されているのです。構内は・・・そうそう、普段なかなか入れないのですが、今日は多くの部分が公開されている様子。シャンパン片手に入ってみました。(ちなみに、入ってすぐからボールの終わりまでに、老若男女多くの人々に衣装を褒められました。ああ、母国の文化・伝統を前面に出してよかった。といっても、これはあくまでも大学主催で若者主体のボールなので、社交会にデビューしたい人は浴衣にサンダルなんて真似しないでくださいねっ!)
構内に入り、そのあまりのゴージャスさに一瞬固まってしまいました。アメリカの名門ハーヴァード大学にも潜入したことがあるのですが、トリニティはすごかった。本格的に食事を楽しめるシックなダイニングホール、ランプの燈された石造りの渡り廊下…極めつけは、サロン。広大な広間に重厚な家具が置かれ、そこにはシガーをくゆらせながら、新聞を読み、コニャックを傾け、囁きを交し合う人々がいました。ざわめいているのに、凛とした空気が流れています。まるで、19世紀や20世紀初頭でその時を止めたかのような空間。まさに、エドワード朝の名門ジェントルメンズ・クラブって、こんな感じなのかしら…と、入り込めない重さを感じながらも、しばしうっとりと眺めてしまいました。何百年も、変わらないものに囲まれながら、何百年も変わらない誇りと共に存在しているかのようなその場にいる人々。すべてが、その特殊空間に臆することなく完全に馴染んでいる。アッパークラスの雰囲気を肌で感じた数分の出来事でございました。あれは、無理ー。£はぜったい入れないっ。
その後は、弟君と合流してさらに構内を色々案内してもらったり、ますます酔ったり(雰囲気酔いもありましたね…)しつつも、別世界での「真夏の夜の夢」を楽しみました。
明け方。
東の空が薄桃色に染まってくる頃、ストロベリー&クリームを持って、朝露に濡れる花々が開くのを見るために、誰もいない小さな中庭に入り込みました。銀のスプーンで苺を潰しながら、まったくこの英国というのは実に奥が深い…と、感慨深く思ったのを記憶しています。
いろんな顔があって、いろんな人が住んでいる。
ずっと変わらないものがあって、どんどん変わるものがある。
流れる血の中に存在する、革新と伝統・・・。日本と同じ島国で、気質は日本人に似ているけれど…やっぱり違うんだな。本当に、まったく面白い国だ!!
と、新たな面を垣間見せてくれた英国に対し、昇ってゆく太陽を見ながら更に愛を募らせたのでした・・・。
以上が、£の初ボール体験記です!
さてさて、今回で最終回となる£のコラム。
大して役に立たない情報をツラツラと書いてきましたが、願わくば皆様が英国に更なるご興味をお持ちになり、マナーハウスDVDをご覧になった上で「いっちょ行ってみるかー!」と英国を実際に体験して(or 体験した気になって)頂ければ、これほど嬉しいことはございませぬ!
ティーカップを片手にね!
では、いつかまた、どこかで!
Bon voyage!
















