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エドワーディアンガイド

○エドワード時代へ行く前に
  第2回 階段の上の人びと

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●「貴族」って誰のこと?


『MANOR HOUSE 英國発 貴族とメイドの90日』。

――正直に白状すると、本作のサブタイトルにはちょっとした誇張がある。
マンダーストンの家長に納まる主人のサー・ジョンは「貴族」なのか?


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まず、ふつう英国で貴族といえば上から公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5つの爵位のどれか、またはその複数を持つ者をいう。爵位のランクはもちろん、獲得した時期や家柄の起源が古いほど格が高い。貴族院での議席を持つかどうか、爵位を受け継ぐ条件などは個別に違い、特許状に記されている。

現代において功績のあった政治家などに授与されるのは、世襲のできない「一代貴族」の称号だ。たとえばサッチャー元首相は「一代女男爵」である。
『MANOR HOUSE』第2話で開かれる晩餐会には、一代貴族の位を持つ政界人がマンダーストンに集った。奥様のレディ・オリフ=クーパーは席次に頭を悩ませる。同じ男爵でも「世襲貴族」と「一代貴族」では前者を上座にしなければならない。


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さて、われらがサー・ジョンはどうなのか。

番組内での称号は「准男爵(バロネット)」。
男爵の下に位置し、上位5つの貴族には含まれない。しかし、さらにひとつ下の「ナイト」の称号とは違って、子孫に世襲してゆけるタイプの称号ではあるのでややこしい。

准男爵を貴族に次ぐ身分の「ジェントリー」として上流階級の一員に含める見方がある。
だが線の引き方によっては中流階級の扱いにもなる。
田園に広大な土地と屋敷を持ち、優雅に暮らすのは貴族の条件のひとつだ。しかし先祖伝来の領地と爵位を持つ貴族から見れば、新参者の准男爵が形だけ整えたって仲間には思えないかもしれない。サーやレディの敬称で呼ばれると、貴族だと思われがちだ。けれど辞書をひけば「高貴な生まれ(ノビリティ)ではない」「平民(コモナー)」とある。そういえば「貴族院」の議席にも准男爵は関係ない。

上流階級に出入りできるが、貴族ではない。
たいへん「微妙」な立ち位置なのである。

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【参考文献】
小林章夫『イギリス貴族』
ダニエル・プール 片岡信訳『19世紀のロンドンはどんな匂いがしたのだろう』
中島文雄編訳『英米制度・習慣事典』
水谷三公『王室・貴族・大衆』
山田勝『イギリス貴族』

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