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エドワーディアンガイド

○エドワード時代へ行く前に
  第4回 「枠」をはずれた女性

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●「枠」をはずれた女性


 19世紀の後半から20世紀の2つの世界大戦にかけて、英国では男女の人口比が大きくバランスを欠いていたことはよく知られている。1871年ですでに59万人だった格差は年を追うごとにどんどん広がってゆき、1911年には132万人もの女性が「余って」いた。適齢期を迎えながら独身の女性たちは、社会問題として扱われた。


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 1897年に発行された指南書『女性のためのマナー』は「2個で1ペニーの花嫁」という題でこの問題に一章さいている。結婚市場に売り出された女の子は「一山いくら」の供給過剰。並みいるライバルを下して花婿を射止めるにはどうするべきかのアドバイスである。

 「お顔が平凡で財産もなく、
 みすぼらしいドレスしか用意できないような女性は舞踏会に出るな…
 …などと悪口を言う輩もいます。

 しかし、先のことは誰にもわかりません。
 ただ1回の舞踏会が、平凡なお顔の女の子の人生を変えるかもしれないのです。
 あなたが欠席したその舞踏会に、あなたの王子様が来るかもしれないのです。
 それは誰にも言い切れません。舞踏会に行ける距離にいる子は誰でも、
 可愛くてもそうでなくても、持参金があってもなくても、
 同じようにチャンスはあるのですよ」

 ――指南書の類いには容赦なく切って捨てる調子のものも多いのだが、これは何か胸に迫る激励である。ただし実際に役立ったかどうかは知るよしもない。


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 『MANOR HOUSE』では、階上のご家族の中に未婚の成人女性がひとり登場する。女主人レディ・オリフ=クーパーの実の妹、ミス・アンソンだ。

 彼女は結婚「しない」ことを選んでいる現代女性だが、これは当時の社会通念上、一生自由に暮らせるだけの財産でもない限り、広く受け入れられる選択ではなかった。

 マンダーストンでの彼女は、家事運営をする姉の書記や秘書的業務を担い、加えて時折、姉夫妻の留守中に甥っ子ガイの遊び相手を求められている。このような立場は「コンパニオン」「レディ・ハウスキーパー」などとして扱われることもあった。

 姉や甥に愛はあることだろうし、階上の一員として衣食は足りているし、ましてやメイドのような重労働を強制されたわけでもない。しかし、ルールブックに記された序列にしたがって、血を分けた姉から当然のように「命じられる」というのは、心理的に厳しい経験だっただろう。


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河村貞枝 今井けい編『イギリス近現代女性史研究入門』
Mrs Humphry『MANNERS for WOMEN』

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